名古屋高等裁判所 昭和25年(う)1979号 判決
刑事訴訟法第三百五十五条、第三百五十六条の規定を綜合考察すると、原審弁護人の上訴権は被告人の利益の為め特別に認められた権利であつて、訴訟当事者たる地位を与へられたものではないから、控訴の審判の対象となるものは原審弁護人又は其意見ではなく、あくまでも被告人なのである。加之原審弁護人は控訴審に於ては弁論をすることができないのであるから単に控訴申立の一事に於てのみ訴訟関係人たる地位を有するに過ぎない。従つて同法第三百七十六条に所謂控訴申立人とは被告人を指すものと解すべきである。この事は刑事訴訴規則第二百三十六条本文後段の規定に依つて看るも明である。故に当審が控訴申立人たる原審弁護人に対し趣意書提出の最終期日を通知しなかつたのは何等の違法が無い。